お餅とニッパー 2015.04.09

nipper

絵本のラフを描いていた。

主人公の部屋のページだ。

机の上に、何か置物があるといいなぁ、

そうだ、昔家にあったビクターの犬の置物を参考にしよう、

と思って画像検索していたら、

すっかりその犬に夢中になってしまった。

 

心打たれるエピソードについては聞いた事があったけれど、

犬の名前は知らなかった。

“ニッパー”というらしい。

忠犬のイメージが強いけれど、結構ヤンチャな犬だったようだ。

どこまで本当か、自分からケンカはふっかけないものの、

犬とのケンカには負けた事がないらしい。

何だか、相当かっこいい。

 

犬という生き物としての形と、

あのエピソードを活かす事を考えると、

ベストショットは横姿なのだと思うけれど、

哀愁漂う後姿がたまらない。

背中の皺が、たまらない。

気がつくと、私は「ニッパー 背中」で検索した画像を

保存しまくっていた。

 

私がいつか犬を飼える日が来たら、

“おもち”という名前にしようと思っていた。

白くて短毛の犬で、所々茶ばんだ部分があるのだ。

その茶ばんだ部分を、“焦げ目”と呼び、

「おもちは本当にお餅みたいだねぇ」と言って可愛がるのが夢だ。

もし茶ばんだ部分がなかったとしても、大丈夫だ。

その場合は、散歩の後に土がついて汚れた部分を

「焦げ目がついちゃったねぇ」と言いながら拭いてあげればいい。

正月に、呑気に雑煮の餅を食べながら、

「おもちみたいだねぇ」と言って一笑いするのが夢だった。

 

今も、その夢は変わらない。

でも、“ニッパー”もいいなぁ…と思い始めてしまった。

困った事になった。

どちらか1匹なんて、選べない。

 

頭の中を、おもちとニッパーが走り回っている。

ニッパーがじゃれて、おもちのお尻を噛んだりしている。

おもちもイヤじゃなさそうだ。

 

どうやら、2匹は仲良くやれそうだ。

ますます、選べなくなった。

おもちとニッパーという2匹の犬を飼うことが、

私の新しい夢になった。

頑張って稼がなくてはいけない、と思った。