鳩たちの増加 2015.01.22

hato

ここ数日、ひそかに鳩が増え続けている。

ちょっと外に出ると、鳩に会う。

少し歩けば、また鳩に会う。

ふと見上げれば、鳩が飛ぶ。

 

1番顕著な例は、いつも駐車場に1羽だけでいる鳩が、

3羽に増えている事だ。

辺りの鳩が、およそ3倍に増えているという事だろう。

これはもう、例の祭が近付いているからに、違いないのである。

 

例の祭というのは、「天狗まつり」といって、

天狗が街中を練り歩きながら、道中で豆まきをするという、

近所の節分的な祭の事である。

 

大変シンプルな祭なので、街が興奮に包まれるという事はなく、

人々は割と冷静な態度なのだけど、鳩たちの意欲は相当なもので、

「祭のあと」というと、一般的には物寂しい雰囲気が漂うものだけれど、

鳩たちに関してはそれは皆無、むしろ祭は終わらない、といった様子で、

その後1週間ほど、街は豆の潰れたキナ粉臭と、鳩たちの熱気と、

クルルクルル…、という鳴き声に包まれ続けるのである。

 

その、鳩界の大祭が近づいている。

鳩は、天狗まつりの告知ポスターを読んだり、

天狗まつりについての噂話を理解したりはしないだろうけれど、

本能的に、そろそろじゃないか?と勘付いて集結し、

その日に備えているに違いないのだ。

 

高下駄を履いた、1人で歩けない天狗の切なさ。

街の人たちの冷静さ。

そして、鳩たちの熱気。

 

そのバラバラな、自由な感じを想うと、胸がきゅうとなる。

ひとつだって、欠けたらイヤだ。

 

私も、あの祭を心待ちにしているのかもしれない。

勿論、鳩たちの想いには、とてもかなわないけれど。