遊歩道の向こうから、奔放そうな大型犬を連れた、
小柄なおじさんが歩いて来る。
“連れた”と書いてはみたものの、
実際は、“連れ回されている”と言った方が正確だ。
なにしろ、その大型犬の大きさといったら、
“匹”というよりも、むしろ“頭”。
立てば、おじさんの背丈くらいはありそうな上、
まだ若いのか、それともそういう気質なのか、
あらゆる人や物に興味を示しては、思いのままに動き回り、
小柄なおじさんを翻弄していた。
「こんにちはー!こんにちはー!」
おじさんは、犬に翻弄されながらも、
すれ違う人すれ違う人に、挨拶をしながら歩いている。
顔の広い人なのか?と思ったら、誰というわけではなく、
それどころか、人・物・事の垣根すら飛び越えて、
無差別に挨拶をしている様子だ。
どうやら、犬の気持ちを代弁しているという設定らしい。
そうか、あの大型犬は、世界中に向かって「こんにちはー!」
と言っているのか、と思った。
なんだかすごく、かっこいいと思った。
あの犬になったつもりで、見慣れた道を眺めてみた。
少し、ウキウキした。
