「こどもの本 2020年9月号」2020.08.26

表紙と〈表紙のことば〉を担当させて頂いている

日本児童図書出版協会「こどもの本」、9月号です。

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『夏仕舞い』

フーコは夏が好きなのです。

夏が終わるのは嫌なのです。

いよいよ夏仕舞いの日になって、

みんなが少ししんみりとしながら楽しい夏を片付けた後も、

ひとり仕舞わないでいました。

「夏の片付けをしない娘は、お嫁に行けなくなるんだよ！」

おばあさんはそう言いますが、

フーコはお嫁に行くつもりなんて、さらさらなかったものですから。

「私は仕舞いませんからね！」

フーコは秋を睨みました。

（表紙のことば・井上コトリ）

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本当は、秋を睨んだフーコの前に、

3月号の帽子族の帽子が、巡り巡って飛んでくる…

ことを想定していたのですが、文字数の関係で収まりませんでした。

残念！でも、こればかりは仕方がないです。

今となっては、「早く涼しくなってほしい…」と思いますが、

子どもの頃は、夏が大好き。フーコのように、秋の気配を睨む子でした。

本当は、もう肌寒いのに、無理して半袖を着続けてみたり、

サンダルを履き続けてみたり。

本当は、もう美味しくないのに、スイカを食べ続けてみたり、

素麺を食べ続けてみたり。

そんなことをしたって、夏は終わって秋は押し寄せてくるわけですが、

小さな生きものとしての抵抗？意地？もしかして、おまじない…？

のようなものだったのだと思います。

そして、楽しいこのお仕事も、残り3回！

フーコのように、「終わるのがいや！」と思ったところで、

12月号で私の担当は終わりです。

早くも寂しい気持ちになってきましたが、もう内容は決めています。

大事にかいていきたいです。

ちなみに、背景のモクモクとした木は、スモークツリーがモデルです。

本当に、煙みたいな不思議な木です。

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日本児童図書出版協会　「こどもの本」