「こどもの本 2020年5月号」2020.04.23
表紙と〈表紙のことば〉を担当させて頂いている 日本児童図書出版協会「こどもの本」、 5月号が発売されました。 今回は、旅がテーマです。 ・・・・・・・・・・ 『旅先で』 北の海のロブスター氏と、南の湖のザリガニ氏が、 遠い旅先のホテルで、ある時巡り会ったのです。 ふたりは初めて会ったのに、お互い他人とは思えなくて、 固くハサミを交わしました。 それから一緒にお茶を飲んだり、気球に乗って見物したり、 じゃんけんしたりして遊びました。 勝負はいつも、おあいこで、 ふたりはそれが面白くて、ハッハッハッと笑うのです。 (表紙のことば・井上コトリ) ・・・・・・・・・・ これを制作している時は、 「さすがに今年のオリンピックは無理なんじゃない…?」 と思っていた頃で、つまり、まだ延期すら決まっていない頃で、 イヤな気配は漂いつつも、 まだ楽観的な空気がわずかに勝っているような頃でした。 5月号ということで、〈連休→お出かけ→旅〉 をテーマに決めていましたが、 「今年は旅なんて無理かもなぁ…。いや、だからこそ、 創作の世界は旅にしよう!それも思い切り遠くの旅がいい!」 そう思って、憧れのカッパドキアから着想を得て描きました。 それからしばらくが経ち、この5月号が完成した今、 現実の世界は、あの頃の予想を悪い方向にはるかに超えてしまいました。 旅どころか帰省すら、しばらく本当にできないのかもしれません。 でも、心の世界は自由です。想像する力さえあれば、 いつだって遠い場所まで旅することができるはずです。 一日も早く、日常が戻ってきますように。 仕事を休まなければならない人、縮小しなければならない人、 逆に絶対に休めない人のことを、できる限り想像しながら、 自分がどう過ごすべきか、考えながら過ごしたいです。 ・・・・・・・・・・ 日本児童図書出版協会 「こどもの本」 |