グループ展のお知らせ 2018.6.5

poo

久しぶりに、グループ展に参加しています。

10年ほど前に閉店をしたギャラリーのオーナーさんが主催する、

そのギャラリーに縁のあった作家たちの、同窓会のようなグループ展です。

共通点は、「そのギャラリーに縁があったこと」なので、

作風も技法も取り組み方も、みんな様々。

一風変わったグループ展です。

 

主催者の、元ギャラリーオーナーのOさんと出会ったのは、

確かギャラリーが閉店する1年くらい前。

春先に出会って、その年の冬に閉店したのだったと思う。

当時私は、働きながら、夜間の専門学校で少し絵を習ったりしていて、

もちろんまだ絵の仕事なんてしたことがなくて、

駆け出し以前の、ただ絵が描きたいだけの若者だった。

駒場のアゴラ劇場に、知人のお芝居を見に行って、

その帰り道にそのギャラリーを見つけて、ふらりと立ち寄った。

何の展示がされていたかは、思い出せない。

でも、たくさんのポストカードが販売されているコーナーがあって、

ちょうど自分のポストカードを持っていた私は、

「私のも置いて頂けませんか?」

と、突然お願いしたのである。

今思えば、初めてお邪魔したお店で、いきなりそんなお願い、

なんて図々しくて不躾だろう!と恥ずかしくなる。(若気の至りです…。)

それに、私の絵は、まだ人に見せていいレベルにはなっていなかったと思う。

そんな私にOさんは、迷惑そうな顔ひとつせずに、

「いいですよ。たくさんあるから、そんなには置けないけど」と言って、

手持ちのカードをいくつか預かってくれた上に、

「今度企画展があるから、よかったら参加してみますか?」

と言ってくれたのだ。

そういうわけで、その少し後の、梅雨の季節に、

私は生まれて初めて、「絵を飾ってもらう」ということを経験した。

 

初めてのギャラリーが、Oさんのギャラリーで本当によかった。

「うちの雰囲気には合わないから」と突き返す人だったら、

気持ちが折れていたかもしれない。

自分の考えに合わないものは寄せ付けない、という姿勢は、

お店の雰囲気を保つためには、必要なことだろうと思うし、

お客さんの立場から見れば、

「あそこに行けば、あの雰囲気のものがある」というのがわかるから、

むしろ信頼できるだろう。

でも、Oさんと、Oさんのお店は、この世界に(特に、駆け出しの若者のために)

絶対に必要なお店だったと思う。

 

Oさんのお店の層の厚さといったら、それはもう謎めいていた。

私のような駆け出しの若者から、

人生の生き甲斐として取り組んでいる大人の方もいれば、

バリバリ活躍されているイラストレーターの方、

「消えた漫画家」として特集されてしまうような、

知る人ぞ知る有名人もいたりなんかして、本当に不思議だった。

その層の厚さは、作家の間でも時々話題になっていたのだけど、

当のOさんは「作品の良し悪しを決めるのは私じゃないから〜」

などと、飄々と言う。

Oさんほど飄々とした人を、今のところ、私は他に知らないと思う。

 

そんな不思議なギャラリーの同窓会展は、

やっぱり層の厚い、不思議な展示になっていました。

私は、カラーインクで描いた作品を、5点出展しています。

私も2回ほど、お店番をする予定です。

よろしければ、遊びにいらして下さい。

———-

「森のオーケストラ」

会期 : 6月4日(月)〜10日(日)

時間 : 11時30分〜19時30分(*最終日は、17時30分まで)

場所 : モンベル渋谷店5F

井上がお店番の日時 :

8日(金)15時30分〜19時30分

10日(日)11時30分〜17時30分

詳細

———-