勘違い 2015.03.01

kumo

朝、2度寝をしていると、部屋の中に生き物の気配がする。

おかしい。

私は生き物なんて飼っていないのに。

何か紛れ込んだのだろうか?

 

うつらうつらと考えていると、

生き物の気配は、どんどん近付いてきて、

ついにベッドに乗ってきた。

寝ている私の顔に、クンクンと鼻を近付けている。

髭がくすぐったい。

 

猫だ。

今目を開けたら、驚いた猫に顔をひっかかれるかもしれない。

ここは、慎重にいかなければ…

 

と思ったところで、はっきりと目が覚めた。

勿論、猫なんていなかった。

 

私は直観的に、ついにあの子が召されたのだ、と思った。

あの子というのは、友人の家の猫で、

もういつ召されてもおかしくない、たいそうな老猫の事である。

飼い主も、今年の冬は越せないかもしれない…

今年の夏は越せないかもしれない…

と、数年間言い続けている。

家族でもない私に、別れの挨拶をしに来てくれたのだろうか?

律儀な猫だなぁ、としんみり思った。

 

昼間、確信を持って、飼い主に猫の安否を確認してみる。

「元気だよ!」と、少し怒られる。

勘違いでよかった。