夕飯のために買ってきたブロッコリーが、
大変立派だったので、まな板の上に立ててみる。
立った。
フラフラする事もなく、とてもバランスよく、
いとも簡単に立った。
あまりに見事なので、しばらく眺めてみる。
木だ。
これはもう、木だなぁ、と思う。
眺めてばかりいても、夕飯の支度が進まないので、
房に切り分ける。
木だ。
房に分けても、やっぱり木だ。
ブロッコリーは、木になりたいのだろうなぁ、と思う。
植物だから、「木になりたいなぁ」などとは言わないけれど、
その意気込みは、相当なものに違いない。
そんな、夢いっぱいのブロッコリーを食べるのが、
なんだか気の毒になってきた。
ブロッコリーを放っておいたら、
木になる可能性はあるのだろうか…?
残念ながら、ないだろう。
調べたわけではないので、定かではないけれど、
木になるどころか、ひょろひょろと細長く伸びたりして、
挙げ句、花が咲いたりするのだろう。
ブロッコリーは、自分が理想とする自分から、
どんどん遠ざかっていく自分を知って、
きっと、ひどく落ち込むだろう。
途中までうまくいっていたのに、どこで間違えたのだろう?
と、自分を責めるだろう。
ブロッコリーの運命は、残酷だ。
だったら、
夢いっぱいのこの時に、食べてあげたほうがいいのだ、
と思って、シチューに添えて、ムシャムシャ食べた。
美味しかった。
