しばらく前の事だ。
目の前を歩くおじさんが、
ものすごく長くて大きなオナラをしたのだ。
ぶーーーーー、と。
本人にそのつもりはなかっただろうけど、
結構な至近距離であり、
ひっかけられたと言っても、言い過ぎではない。
でも、特に腹は立たなかった。
「代わり」に、何かいい事があるだろう、
と思ったからである。
おじさんに、長くて大きなオナラをされた事を、
ちょっとした不運(仮に-50とする。普通程度のオナラの場合は-10)
とすると、ちょっとした幸運(仮に+50とする)が、
運を扱う見えない銀行のようなところ
(個人の運が常に±0になるように管理している)から支給され、
何かいい事が起こるだろう、と思ったわけだ。
だから、腹が立つどころか、楽しみにさえしていた。
ところが、しばらく経った今、
ちょっとした幸運は、まだ起こっていないのである。
段々、腹が立ってきた。
見えない銀行は、私にちょっとした幸運を、
速やかに支給するべきだ。
と、怒ったはずみで、ある事を思い出した。
アメンボの事だ。
少し前に、季節はずれのアメンボを見て、
はしゃいだ事があったけれど、
まさか、あれだろうか…?
季節はずれのアメンボを見た事を数値化すると、
大体+30〜50といったところだろう。
何やら、辻褄があってきた。
どうやら私は、アメンボに幸運を使ってしまったらしい。
アメンボには悪いけれど、少し残念だ。
それにしても、
おじさんのオナラをアメンボで埋めてくるとは、
見えない銀行は、そつが無いなぁ、と思った。
