亀洗い 2015.09.05

kame

夕方、いつもの道を歩いていると、

住宅に併設された駐車場で、

かがんで何かを洗っている人がいる。

ホースで勢いよく、バシャバシャと洗っている。

 

車を洗浄した後に、洗車道具でも洗っているのだろうか?

と思ったら、亀だった。

カレー皿くらいの大きさの、なかなか立派な亀が、

みかん箱くらいの大きさの水槽に入ったまま、

水槽ごと洗われている。

洗い主は、ホースの水をバシャバシャと掛けては捨て、

掛けては捨て、を繰り返している。

亀を水槽から出して、水槽をタワシで擦ったり、

必要によっては、亀本体も擦ったりしなければいけないのが、

面倒なのだろう。

水圧だけで、亀も水槽もきれいにするんだ、

という意気込みが伝わってくる洗い方だ。

亀は抵抗する様子もなく、ガタゴトとなすがままにされている。

 

亀はどんな気持ちなのだろうか?

やめてほしいのだろうか?何とも思っていないのだろうか?

それとも、楽しんでいるのだろうか?

 

ふと、自分が子供の頃、ガソリンスタンドの洗車機に、

車に乗ったまま入るのが好きだったのを思い出した。

ひとりで車に乗っていると、ちょっと恐くて、ドキドキして、

自分が強くなったような気がして興奮した。

ガソリンスタンドに行くと、よくせがんだものだった。

 

一瞬、亀と心が通じたような気がした。

気のせいかもしれないけれど。