アメンボからのメッセージ 2015.06.19

amenbonosei

小雨の降る中、駅に向かって歩く。

小川沿いの、いつもの散歩道を通る。

梅雨時になって、シロウを見かけなくなった。

少し寂しい。

 

小川にかかる小さな橋を、リュックを背負った外国人男性が、

こちら側に向かって小走りで渡って来る。

傘はさしていない。

高校だったか大学だったか、英語の授業で先生が、

「外国人はあまり傘をささない」と言っていたけれど、

本当なのだなぁ、などと考えていると、

その外国人男性が、私を追い越しながら、

Tシャツを脱いで上半身裸になったから、驚いた。

肩に立派な肩毛が生えていたから、また驚いた。

そんなに体毛の濃い人ではなかったから、さらに驚いた。

 

アメンボは、手のひらに毛が生えていて、

それで水に浮く事が出来ると聞いた事がある。

あんなに立派な肩毛なら、小雨くらい弾きそうだなぁ、

と思ってはっとした。

 

これは、アメンボからのメッセージではないだろうか?

去年の初冬、季節外れのアメンボを見てはしゃぎ、

春になったらまた探すんだ、などと言っておきながら、

すっかり忘れていた。

季節は流れて、もう初夏だ。

痺れを切らしたアメンボが、メッセージを送ってきたのではないだろうか?

 

という事は、あの男性はアメンボの精なのだろうか?

痩せ型に、スラリと長い手脚。

よく考えなくても、アメンボに似ている。

 

男性は、小道を曲がってどこかに消えてしまった。

物陰で、人目を忍んでアメンボの姿に戻る様子を想像してみた。

その後、来た道を戻って小川に帰るのかと思ったら、おかしかった。

アメンボは飛べるらしいから、きっと飛んで帰ったろう。

 

アメンボの小川を横目に見ながら、駅に向かった。

明日晴れたらアメンボを探そう、と思った。