昔お世話になった人が、亡くなった事を知る。
最近お見かけしなかったけれど、
「いい場所を見つけたから、移住しようと思う」
という話を聞いていたから、
その遠い場所で、元気に過ごしているのだと思っていた。
驚いたのと、実感が湧かないのとで、
なんとなく、1日ふわふわと過ごす。
まだ仕事がほとんどなかった頃、
少し、その人の手伝いをさせてもらっていた。
今流行りの、勉強という名のただ働きなんかではなくて、
ちゃんとお金も貰っていた。
当時はあまりよく考えなかったけれど、それは、
その人のさり気ない優しさだったのだと気付いた。
いくら人手が必要だったとしても、
何の経験もない若者に手伝いをさせてくれるなんて、
それ以外に考えられない。
少しでも生活の足しになれば、と思ってくれていたのだろう。
もっと、心からお礼を言わなくてはいけなかったし、
さり気ない優しさに、
その時ちゃんと気付かなければいけなかった。
その人が、いい場所、と言っていた場所に、
いつか行ってみたいな、と思った。
