今日は暖かかったので、
もしかすると、アメンボがいるかもしれないと、
遊歩道の小川沿いを歩いて探す。
調べによると、アメンボの活動は10月まで。
11月は冬眠に入っているはずではあるけれど、
人間でいうところの「宵っぱり」というか、
まだ冬眠せずに、閑散とした小川を悠々と滑っている
少数派がいるかもしれない、と予測したのだ。
すっかりオレンジ色になった桜の木の下を、
水面に目を凝らして歩いた。
時々自分の靴が、枯葉を踏むサクッという音が聞こえた。
アメンボは、見つからなかった。
ちゃんとしてるなぁ、と思った。
アメンボは、真面目だ。
なんだかつまらないような気持ちになって、
帰ろうとした時だった。
例の波紋が見えた。
ちゃんとしてないアメンボが、一匹だけいたのだ。
浮いている枯葉を得意気によけながら、
仲間のいなくなった水面を闊歩している。
しばらくそれを眺めて、満足した気持ちで帰った。
あのアメンボが人間だったら、仲良くなってみたいものだ。
きっと、愉快なやつだろう。
