ゼニゴケのこと 2014.11.22

zenigoke

夜中に歯を磨いていたら、突然「ゼニゴケ」という言葉が浮かんだのだ。

ゼニゴケ。苔の種類の名前だ。

どうして突然、苔の種類の名前なんて浮かんだのか?

ゼニゴケ、ゼニゴケ…と考えていて、思い出した。

子供の頃、近所だった男の子のあだ名だ。

 

私より、少し年上だったその子は、

元々は永谷園と呼ばれていたのだけど

(下の名前が○○ノリで、ノリ→海苔→永谷園という流れ)、

ある時から「ゼニゴケ」と呼ばれるようになったのである。

近所のおねえさんに、「なんで?」と聞いてみたところ、

「似てるから」との事だった。

その時私は、特に疑問も持たず、

彼の呼び方を永谷園からゼニゴケに切り替えたのだけど、

実はゼニゴケがどんな苔なのか知らなかったし、

当然何がどう似てるのかも分からなかったわけだ。

 

今思えば、悪い事をした。

永谷園とゼニゴケのどちらがマシかという事は、

なかなか測りかねる問題だし、

あだ名を付けられるという事は、

愛されている証拠とも言えるけれど、

ゼニゴケに似ていると言われて嬉しい少年はいないだろう。

そもそも、人間の男の子と苔が似てるって、なんだ。

どういう事だ。

 

今さら謝る事も出来ないけれど、せめてゼニゴケについて知ろう、

と画像検索をして、思わず声が出た。

「似てる…!!!」

髪型だ。

ひょろりとした身体に、毛量のある坊ちゃん刈り。

そっくりだ。

確かに彼は、ゼニゴケに似ていた。

 

悪い事をしたなぁ、と思いつつも、

あまりにそっくりで、笑ってしまった。

それから、せめて髪型の事でよかった、と思った。

きっと今は似ていないだろう。

元気でいるだろうか?

 

それにしても、どうして急に「ゼニゴケ」と浮かんだのか。

それについては、謎のままだ。